2021年7月15日(木)、祇園神社の夏季例大祭が行われました。
昨年は新型コロナウィルス感染拡大防止の為に、神事のみ密やかに執り行われたので、町民あげてのお祭り行事は2年ぶりとなります。
祇園神社の夏季例大祭について、こちらでまとめておきます。
(例大祭や歴史などについてはヤマメの里の秋本治さんに伺いました)
開催決定までの経緯
今年もギリギリまで開催についての議論が重ねられていました。
神社の総代さん達が何度も会合して、6月末日にようやく神輿を旧鞍岡中学校まで出してみようかということになったそうです。
通常なら国道まで出る神輿とパレードですが、行動を旧中学校の運動場までにし、実質的に規模を縮小。
また、いつも出る出店についてはギリギリまで検討し、数を減らして出店。
そもそも夏季例大祭とは?
祇園神社では、夏と秋に「大祭」があります。
祇園神社でも最も大きな神事で、夏の大祭の中には「森巻神事」や「直会(なおらい)」の他、棒術奉納や神楽奉納、更には浦安の舞などお祭りの中でたくさんの行事が行われるのが特徴となっています。
夏季例大祭の一日
森巻神事
夏の大祭の始まりの朝に行われる行事です。
鞍岡住民の中でも「折立(おりたち)」という地域の住民にしか継承されておらず、とても貴重で重要な行事になっています。
真茅(まがや)という笹のようなイネ科の植物は、今ではこの地区で「森巻神事」用だけに育てられています。
朝一番にこの真茅を編んでいくところから始まり、真茅の一つはヤマタノオロチに似せた龍に作られます。
もう一つは神楽殿の中に相撲の土俵を作るのに用いられ、土俵上では毎年相撲が取り組まれます。
この相撲、昔は東西に分かれてどちらの勝敗でどちらの方角に運気が向いているかを占うことが目的だったとか。
今ではあえて最後の勝敗はつけず、「勝負は来年に持ち越し!」という風習になっています。
真茅で作られたヤマタノオロチには、どぶろく(甘酒)が供えられて、水神に災害防止を祈願します。
昔、夏になると折立地区の川が度々氾濫していたことが、山神でも水神であるヤマタノオロチの怒りと捉えた住民達。
そのヤマタノオロチの怒りを鎮めて災害を防ごうとしたことが始まりだとか。
台座のようなもの、実はこれ、「橋」なのです。
川にかけた橋を作っていて、その橋にヤマタノオロチが顔を出しているのですね。
↓横から見ると確かに橋に顔を出したヤマタノオロチ!
森巻神事の様子は祇園例大祭の裏舞台動画で紹介しています!
神事
昼前ごろから始まる神事で珍しいのが、社務所から宮司と巫女、籠(かご)が出てくるところからはじまるというところ。
水で体を清め、境内の御神水場で祝詞が挙げられ、その後本殿にて行われます。
本殿内では、「浦安の舞」という珍しい巫女さんによる舞が行われます。
神楽奉納
神楽は「鞍岡祇園神楽」と呼ばれ、この大祭では主に一番から三番までが舞われます。
一番:「地神楽」(じかぐら)
二番:「場神楽」(ばかぐら)
三番:「地荒神」(じこうじん)
神楽の演目は全部で三十三(33)番まであり、「お日待ち神楽」といわれ、夜を徹して朝日を見るまでの間、舞われるものです。
天岩戸から天照大神をお連れする時に舞われるものですね。
棒術と長刀(なぎなた)奉納
ここで奉納されるのはタイシャ流棒術です。
このタイシャ流ですが、丸目蔵人之介(まるめくらんどのすけ)の弟子である伝林坊(でんりんぼう)という人物が伝承したものだと言われています。
実はこのタイ捨流、椎葉にも伝わっていましたが、椎葉地区では後世で棒術が危険な喧嘩に用いられるとのことで伝承を断ってしまったそうです。
鞍岡地区ではこのタイ捨流を「武術」としてでなく、神社への奉納としてのみ伝承されてきたため、現代にも残っているとのこと。
今のご年配の方が若い頃、棒術を奉納する日は朝から身を清めて、「一日中緊張する日」だったそうです。
神事での棒術の役割ですが、神輿の通り道に一般人が入り込まないようにする護衛としての役割だとか。
だからこうやって神輿の道を開けているんですね。
参道パレード
パレードは大祭のクライマックス!
「道案内の神様」といわれる猿田彦神(さるたひこのかみ)を先頭に、小学生の鼓笛隊、中学生と園児の棒術隊と長刀隊、それから神楽隊、最後に神輿と宮司が馬に乗って町を練り歩きます。
全体の動きは後方の神楽太鼓の音で統制されます。
2021年(令和3年)のパレードは、まだコロナ禍ということで、宮司の馬や長い距離の練り歩きは控えられました。
代わりに祇園テラス鞍楽(くらら)(旧鞍岡中学校)で棒術演舞や鼓笛隊の演奏が行われました。
最後には住民による生演奏コンサートもあり、盛り上がっていましたよ。
まだまだ知らない大祭の神事
2021年(令和3年)は、2年ぶりに外向けに行われた祇園神社大祭でした。
この祇園神社夏季例大祭では、一日(昔は二日だったそうです)の中にたくさんの行事・神事が行われることが特徴。
今回取り上げてないものでは次のような行事もあります。
しめ縄づくり
6月22日に行われます。
神社本殿のしめ縄ですが、1年に1回だけ交換され、この日がその交換の日です。
いつもは地区で持ち回りなのですが、今年は神社総代さん達で行われたとのこと。
ちなみにしめ縄に用いられる藁は、専用に作られています。
焼餅の儀
大祭の前日に行われる儀式です。
餅を焼いて神社に供えます。
昔、疫病が流行った時に荒谷地区という地区が始めた神事だそうで、餅は護符にもなるとか。
直会(なおらい)
大祭当日のお昼、神に捧げていたものを共に食べる儀式です。
社務所内で総代さん達を中心として行われるそうです。
★祇園神社★