ブナの木は「森の女王」と呼ばれ、「豊かな森林の指標物」といわれています。
五ヶ瀬町霧立越は美しいブナ林として知られていましたが、2012年頃から「ブナハバチ」という昆虫が大量に発生してその食害にあっているのです。
ブナハバチとは?
ブナハバチは蜂の仲間です。
繭を作って地中で冬を越し、春になると羽化した成虫の雌がブナの新芽に産卵します。
卵が2週間ほどでかえると、幼虫がブナの葉を食べて成長していきます。
【▲霧立net 秋本治さん撮影】
ブナハバチが何故、大量に発生し始めたのか?
鹿の食害によって、低木のスズタケが多く枯死しました。
それまでスズタケなどの低木を巣作りの材料にしていたコマドリやウグイス、ソウシチョウなどの小鳥が減ります。
その小鳥たちの餌となっていたのがハバチなどの幼虫。
つまり、ブナハバチの天敵である野鳥類が極端に少なくなったことで、ブナハバチの幼虫が大量に発生したのです。
全ては、森の生態系が壊れ始めたから・・・。
今後の対策や目指すところ
ブナハバチを駆除したらいいのではないか?
他の動植物に強い影響が出てしまう為、大規模な駆除は出来ません。
誘引トラップによる成虫の捕獲や粘着トラップによる幼虫の捕獲。
これらは現在既に行われていますが、主として生態を調査する為のもので、直接的・根本的な解決にはなりません。
まず鹿の食害によって激減してしまったスズタケなどの低木を守っていきたい。
鹿の食害にあって、かろうじてまだ残る植物は、今、鹿避けネットを張って守ろうとしています。
ですがこれらは、管理が十分ではなく劣化により壊れたり、雨風によって流されたりしている箇所も多いのです。
皆で今出来ること、鹿避けネットを補修したり、ブナの幹周辺に防虫ネットを張るなどを少しずつでもやっていきたいものです。