五ヶ瀬町役場の真向かい「立壁酒店」の西山裕子(ひろこ)さんが作る「ジャージー人形」をご存じでしょうか?
約17年前から裕子さんが作り始めたジャージー人形は既に100体ほどになっています。
その完成度、可愛さ、手作りならではの拘りは必見に値します。
そんな裕子さんが作る五ヶ瀬のジャージー人形を紹介します。
↑こちらの人形たちは、裕子さんの作品のごくごく一部!
1作目の製作期間はなんと3年。
慣れた今でも頑張って1ヵ月はかかるそうです。
今回ジャージー人形の製作秘話などもお聞きしましたので、ぜひご覧ください。
裕子さんがジャージー人形を作り始めた時のお話
裕子さんがジャージー人形を作り始めたきっかけは、ご自身のおばあさんが入院中だった17年前。
裕子さんのおばあさんが人形が好きで、当時病院の車椅子で、硬いセルロイドで作られた人形を大事にされていたそうです。
裕子さんはそんなお人形好きのおばあさんを喜ばせようと、柔らかい素材(「ジャージー」という生地)で人形を作ってあげたいと考えたのがきっかけだとか。
知り合いの方(裕子さんのお師匠さん)が人形を作っていると聞いて、裕子さんは作り方を教えてもらい始めました。
しかし、当時の裕子さんの師匠さんが記憶障害で闘病され、裕子さんはそのお師匠さんに残されたわずかな記憶だけを頼りに教えてもらい続けます。
記憶障害の方のお世話もしながらだったので大変だったという裕子さん。
そんな第1作目が完成したのは作り始めて3年後。
3年かけて1作目の人形が完成した時には、お師匠さんも、人形をあげるはずだった大好きなおばあさんも他界されていました。
完成したのがこちらの人形↓
今現在のお人形の作風とは違いますが、このお人形も見れば見るほど可愛く見えてきます。
ちなみにこの1作目の人形のお名前は「愛ちゃん」。
2作目以降は現在のものも全て「うめ子ちゃん」だそうです。
あどけない表情、これが1作目って、かなりのクオリティですよ・・・。
なんだか、ずーっと見ていたくなります。
ジャージー人形とは?作り手のこだわりなど
基本的に服の色は2色しか使わない
服のデザイン、もちろん裕子さんが全部考えています。
デザインは紙に書くのではなく、ほとんどが裕子さんの頭の中にイメージされていて、人形が「こんなの着たい!」と語りかけてくる感じだそうです。
服はごちゃごちゃのデザインよりも2色ほどしか使わないことで、シンプルで可愛らしいデザインになるんだとか。
確かに、お人形部屋の「うめ子ちゃん」たちはみんなメインは2色ほどの色づかいです。
色づかいは基本的に2色ですが、縫製は全て手縫いで細部まで細かく拘りをもって作られています。
髪の毛の質感は毛糸でなくニットで!
100体ほどある「うめ子ちゃん」ですが、全ての髪型が違います。
髪の毛の質感は毛糸ではなく、細く繊細で柔らかいニットを使うことで人形の髪の毛らしく、ヘアスタイルもしっかり決まるそうです。
ちなみに上の写真は少し前に製作していたお人形。
髪の毛、まつ毛、服、全てにおいてクオリティが凄いですよね!
小さなブラウスのボタンホールも手縫いで仕上げていますよ。
髪の毛の一定の長さをカットするときに使用している手製の道具がこちら↓
今回の主な作品紹介!
たくさんある「うめ子ちゃん」シリーズから今回いくつかの作品を紹介させていただきます。
高千穂お茶娘人形
「高千穂お茶娘人形」と名付けられたお人形。
作品の題名がついていることは珍しいのですが、こちらは宮崎県の展示会に出展し、佳作の賞を受賞されたお人形だそうです。
特に細かいのがお茶摘みの籠と履いている草履!
籠だけでもひと目ひと目、これも手作りなんです!
もちろんこの草履も手作り!
「手先が器用」ってだけではここまで作れませんよ。
お茶娘人形、かわいらしい!
これもずっと見ていたい!
警察官シリーズのうめ子ちゃんとうめ男くん?
こちらはちょっと変わった感じのうめ子ちゃん。
「うめ子ちゃん?男の子の方も?」と聞くと「男の子は(うめ男)・・・」と裕子さんから“今考えた”ような答えが返ってきました(笑)
こちらの作品の細かさ、こだわりはポケットにありました!
この独特なポケットの形状、警察官が色々物を入れるように作られた、あの感じです!
こんなところまで細かく再現していながら、人形の可愛らしさを崩さないクオリティには脱帽。
熊本のチアリーダー
こちらは人に頼まれて作った作品だそうです。
頼まれて作成した1体をあげて、可愛かったのでこちらは裕子さんが再度作成して手元に置いているもの。
写真を見ての作成だそうですが、衣装の再現度が細かい!
ふちをよく見ると、シルバーのキラキラ、赤、白、赤、シルバーのキラキラ。
写真の衣装通りに再現しているこだわりよう!
「がんばろうバイKUMAMOTO」の文字が見られるということは熊本地震の後でしょうか。
NHK連続テレビ小説「花子とアン」シリーズ
こちらは2014年にNHKで放送された「花子とアン」を見て裕子さんが作ったシリーズ。
吉高由里子さんが演じた花子のもんぺ姿、女学校姿、右は食堂の店員時代でしょうか。
当時はスマホも普及してなくて、テレビ録画を一時停止して衣装をじっくりと観察されたそうです!
もんぺ姿の方は高齢になった花子?白髪が再現されていますよ!
この着物(和服)の精巧な作り方に脱帽です!
よく見ると帯の下にも細かい帯の柄が!
更に、もんぺ姿は防空頭巾つきです!
五ヶ瀬のジャージー人形は販売しているのか!?
裕子さんが趣味として作ってきたこれらのジャージー人形。
ジャージー人形は販売しているのでしょうか?
実は一部が、赤谷商店街の「きくち衣料品店」さんに出品されています。
初期作と最近の作品ではちょっと感じが違いますよ!
きくち衣料品店さんに出品されているお人形のお値段は13,000円ほど。
これだけ凝って作られたお人形、世界に一つのオンリーワンな人形です!
私も離れて住んでいるもうすぐ二十歳の自分の娘にプレゼントしようかと考えている今日この頃。
五ヶ瀬のジャージー人形 編集後記
今回ここで紹介させていただいたジャージー人形はごくごく一部。
五ヶ瀬の町でひっそりと誕生し続けているお人形たち、いつかどこかで皆さんにお披露目できるような特別なイベントの計画!?もしたい!!
私はすっかり裕子さんのお人形ファンになりました。
これからファンが増えて、裕子さんからこの「手作りの技」を継承されるお弟子さんなんかも誕生すると嬉しいなぁ。
立壁酒店 |
宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町大字三ヶ所21057-7(五ヶ瀬町役場前) |
0982-82-0035 |
きくち衣料品店 |
宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町三ヶ所10671 |
0982-82-0019 |